WT工法
Water Tank method
高水位の土地にも適用しやすい雨水貯留システム
TNF工法による地盤改良体にて雨水貯留槽を形成します。軟弱地盤や高水位の地盤にも適用可能です。
目次
WT工法とは

取得特許
排水構造(雨水貯留槽工法)
特許番号 第4039445号
取得年月日 平成19年11月16日
NETIS登録
登録番号:KK-180030-A

商標

WT工法は、地盤改良体を貯留槽として活用する雨水貯留システムです。
従来のプレキャストやプラスチック製貯留槽では困難であった軟弱地盤や高水位地盤でも、安定した施工と長期的な機能維持が可能です。本工法は、地盤改良体を貯留構造として活用し、遮水シートを併用することで、地下水位を下げずに施工できる点が大きな特徴です。これにより、貯留槽の浮上・変形リスクを抑制しつつ環境への影響を最小化します。
地盤改良による貯留槽
WT工法は、地盤改良体で形成した貯留槽内に等粒度砕石を敷き込み、砕石の間隙に雨水を一時的に貯留します。流入した雨水は貯留空間を通過し、設置された排水桝から制御放流されます。

施工面
地盤改良層が地下水の侵入を防止し、貯留槽の浮上・変形を抑制するため、地下水位の高い場所でも安定した施工が可能です。高水位地盤や軟弱地盤にも対応できるため、従来のプラスチック貯留槽では困難だった条件下でも施工が容易です。
維持管理面
貯留槽には点検孔や排水設備を設けており、内部の確認や清掃が容易です。
砕石層が自然なフィルター機能を果たし、土砂や浮遊物の流入を抑えることで、長期的に安定した機能維持が可能です。
槽内部に敷設される砕石
WT工法では、地盤改良によって形成された槽内部に保護マットと遮水シートを敷設し、その中に等粒度の砕石を敷き込みます。

砕石層は雨水の一時貯留・透水・排水を担う主要な構成要素であり、以下の性能を備えています。
貯水性・流動性
砕石の空隙を活用し、槽全体容積に対しておおよそ35?40%の有効貯水量を確保できます。
粒径が均一なため空隙が安定し、流入した雨水を均一に流動させることができます。

構造安定性
砕石層は、上部に施工される保護マット・舗装・盛土などの荷重を分散し、地盤改良体と一体的に機能することで地盤全体の安定性を確保します。高い剛性と支持力を持つため、大型車両が走行・駐車する舗装下にも適用可能です。
プラスチック材との比較
砕石は自重が大きく、遮水シートや貯留層を安定させることで、雨水の浮力による構造の浮き上がりを防止します。調達が容易な材料であり搬入・施工の効率が高いうえ、解体後の再利用も容易で廃棄物発生を抑制できます。
特徴
特徴 01 ヒートアイランド現象の抑制
貯留水の蒸発によって気化熱を奪い、地表温度の上昇を抑制します。蒸発潜熱効果により、都市部で問題となるヒートアイランド現象の緩和に寄与します。
特徴 02 土地の有効活用
都市計画や再開発に伴う公園・緑地・駐車場などの地下空間に施工が可能です。地上空間をそのまま利用できるため、限られた土地の有効利用を実現します。
特徴 03 貯留水の有効利用
貯留した雨水をろ過・浄化処理することで、生活用水やトイレ用水などの中水として再利用できます。地域の水資源循環と節水効果に貢献します。
特徴 04 防火用水としての活用
非常時には、貯留水を防火用水や散水用水として使用可能です。平常時と災害時の両方で地域防災機能の向上に寄与します。
特長 05 河川への流出負荷の抑制
雨水を一時的に貯留することで、河川への直接流出を抑え、氾濫や内水被害の軽減に効果を発揮します。
メリット
1. 軟弱地盤で施工が容易

軟弱地盤に強いTNF工法の技術をベースにしているため、軟弱地盤や地下水位の高い地盤でも施工が容易です。
2. 仮設資材が少ない

改良体で槽を形成する為、大規模な土留め・止水設備は不要です。
3. 様々な施設の設置に応用
(WT工法+TNF工法)

WT工法は槽を自由に形成でき、雨水貯留槽の他にも、オイルタンク・配管設備ピットへの適用が可能です。
4. ローコスト

地中に雨水貯留施設を埋設する際、当工法では改良地盤が容器の役割を果たすため、土留め矢板工事、鉄筋工事、生コン打設、型枠工事などはほとんど必要ありません。工事工程が少ない為、通常の貯留施設に比べて短期間での施工が可能です。
WT工法(地盤改良による貯留槽)とプラスチック製貯留槽の比較
| 内 容 | WT工法 | プラスチック製貯留槽 |
| 軟弱地盤での施工可能性 | 可 | 不可(補強が必要) |
| 地下水位が高い箇所での施工可能性 | 可 | 不可 |
| 土留め矢板工事 | 不要 | 要 |
| 使用部材を減らせる(鉄筋・生コン・型枠等) | 不要 | 要 |
| 施工工期の短縮が可能(矢板・基礎補強を含む) (貯水容量1万トンの場合) | 約30日 | 約60日 |
| 解体時の対応 | 砕石再利用可能 | プラスチック産業廃棄物処分 |
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